多くのコミュニティ運営者は、スポンサーを得るには大きなオーディエンスが必要だと思い込んでいます。必要なのは、特定のオーディエンスです。スポンサーが買っているのはメンバー数ではありません。特定の人たちの関心と、その人たちがあなたに寄せる信頼です。だからこそ、絶対に受け入れてはいけないのは、その信頼をあなたに代わって食いつぶしてしまうスポンサーです。
この記事は、小規模で焦点が絞られた、守る価値のあるコミュニティのためのスポンサーシップガイドです。スポンサーが実際に何にお金を払うのか、メンバーを味方につけたままにできる形式、価格設定とレポートの方法、そして手を引くべきタイミングを取り上げます。
スポンサーが買うのはリーチではなく信頼
広告ネットワークはインプレッション数で価格を決めます。良質な小規模番組がスポンサー収入の計算で割を食うのはそのためです。直接のスポンサーシップは、まったく別の取引です。メンバーそのものが顧客層である企業が、メンバーの目に触れる場所に対してお金を払い、価格は規模ではなく相性で決まります。会計ソフトの会社にとっては、現役の経理担当者300人のほうが、たまたま会計ネタのミームが好きなフォロワー3万人よりも価値があることもあります。
ここから導かれる結論は見落とされがちです。売っているのは、借り物の信頼です。メンバーがスポンサーの話に耳を傾けるのは、あなたの話に耳を傾けているからです。スポンサーシップはどれも、信頼という口座からの小さな引き出しです。運営者の仕事は、メンバーが失うもの以上のものを得られるようにすることです。
絶対に売らないものを決めておく
最初のスポンサーと話す前に、譲れない一線を書き出しておきましょう。相手が返事を待っている間に迷いながら判断するよりも、あらかじめ断ると決めていた依頼を断るほうが、はるかに簡単です。
ほとんどのコミュニティに必要な一線は次のとおりです。メンバーの名前やメールアドレス、その他のデータは決して渡さない。スポンサーにメンバーへ直接メッセージを送らせない。スポンサーの投稿を、メンバーが書いたかのように見せない。自分で使ったことのないものを推薦しない。スポンサーは遅かれ早かれメンバーリストを求めてきます。答えは「いいえ」であり、交渉の余地があるかのように受け止められてはいけません。
メンバーはオーディエンスであって、在庫商品ではありません。メンバー自体が売り物になった瞬間、そのオーディエンスは次のスポンサーにとっても何の価値もなくなります。
メンバーを味方につけたままにできる形式
最良のスポンサーシップは、メンバーがもともと欲しかったはずのものを、スポンサーの名前付きで届けます。最悪のスポンサーシップは、メンバーの邪魔をします。
| 形式 | スポンサーが得るもの | 信頼へのリスク |
|---|---|---|
| スポンサー企業の専門家が講師を務めるセッション | ふさわしい相手の前で専門性を示す機会 | 低い(売り込みではなく役に立つ内容なら) |
| 定例の恒例企画への「提供」表記 | 安定した、繰り返しの露出 | 低い |
| メンバー限定のオファーを載せる特典スペース | 購入の可能性がある人からの直接の関心 | 低い |
| スポンサーが提供する資料やテンプレート | 自社の名前が入った役立つもの | 低〜中 |
| ピン留めしたスポンサー告知 | リーチ | 頻繁なら高い |
| メンバーの連絡先へのアクセス | すべて | 絶対に売らない |
スポンサー付きセッションは、テーマを絞ったAMAのように運営するとうまくいきます。スポンサー企業で最も詳しい人が、メンバーが実際に抱えている質問に答え、製品に触れるのは最後に一度だけにします。週次のまとめに添える「提供」の一行は、あらゆる形式の中で最も控えめなもので、スポンサーが契約を更新することが多いのもこの形式です。
お金より相性
受け入れるのは、メンバー同士で勧め合うようなスポンサーだけにしましょう。判断基準はシンプルです。お金が絡んでいない状態でメンバーからこの製品について聞かれたら、その名前を挙げるでしょうか。挙げないなら、引き受ける理由は報酬だけであり、メンバーにはそれが伝わります。
最初のスポンサーを迎える前に、メンバーに聞いておくことも大切です。「割引があったらうれしいツールは何ですか?」と尋ねれば、すでに相性の良いスポンサー候補のリストが手に入ります。そして、リストよりも価値のあるもの、つまりメンバーの了承も得られます。メンバーが望んだスポンサーは特典になり、望んでいないスポンサーは広告になります。
インプレッションではなく掲載枠に値段をつける
小規模なコミュニティはインプレッション数では勝負できませんし、勝負しようとすべきでもありません。代わりに、決まった期間の決まったパッケージに値段をつけましょう。たとえば、1か月間でスポンサー付きセッション1回と、週次まとめへの「提供」表記、といった形です。そして、スポンサーが得るもの、得ないもの、期間、報告する内容、双方がどのように終了できるかを書面で合意しておきます。
最初のスポンサーには、率直なフィードバックと引き換えに低めの創設時料金を提示するのが公平な取引です。メンバー向けの創設メンバー価格と同じ考え方です。こうしておけば、2社目のスポンサーに「何に対してお金を払うのか」と聞かれたとき、示せる実例ができます。
毎回必ず明示する
スポンサー付きのものには、毎回、言葉ではっきりと表示をつけましょう。「このセッションは…の協賛でお送りします」「今週のまとめは…の提供でお届けします」といった具合です。メンバーは広告そのものは許してくれます。許さないのは、アドバイスを装った広告が、後になって発覚することです。
開示は、単純にルールでもあります。多くの地域では、広告規制によってもともと明確な表示が義務付けられています。そしてこれは、コミュニティのほかのあらゆる場面で宣伝と貢献を分けているのと同じ原則です。大事なのはその投稿が誰のためのものかであり、メンバーにはそれを知る権利があります。
実際に測れるものを報告する
スポンサーは数字を求めてきます。自分で確認できる正直な数字を渡しましょう。スポンサー付き投稿を開いたメンバーの数、セッションに参加すると答えた人数(対面のイベントなら、実際にチェックインした人数も)、そしてメンバーの感想です。持っていないクリック率をでっち上げてはいけません。
メンバーがコミュニティを離れたあとに起きること(サイト訪問、登録、購入など)は、スポンサー自身のツールで計測するのが適切です。スポンサーごとに、先方が自分で追跡できる専用の割引コードやリンクを用意し、成果はスポンサー側の数字に語らせましょう。
スポンサーシップを終えるべきとき
次のような場合は、契約期間の満了時に終了しましょう。スポンサー付きコンテンツに対してメンバーが不満を口にしたり、反応しなくなったりしたとき。スポンサーがメンバーリスト、ダイレクトメッセージ、掲載内容への口出しなど、より多くのアクセスを求め始めたとき。あるいは、スポンサーの製品が、メンバーなら選ばなかったような方向に変わったときです。
信頼を損なっているスポンサーとの契約は延長しないでください。どれほど報酬が良くてもです。1年分のスポンサー料は簡単に埋め合わせられます。耳を傾けなくなったメンバーの信頼は、そうはいきません。
ソフトウェアにできること、できないこと
Mateflowには広告枠も、スポンサー投稿用のラベルもありません。スポンサーシップは、ピン留めした投稿、イベント、パートナー特典用のスペースといった通常の機能を使って運用し、開示文は投稿の中にご自身で書きます。
報告できる数字も、同じ機能から得られます。すべての投稿には閲覧数が表示され、投稿者以外のログイン中のメンバーが投稿を開くと増えます。イベントでは参加表明した人と参加予定の人数が表示され、対面またはハイブリッドのイベントにはチェックインがあるので、実際に誰が来たかを確認できます。メンバーはどの投稿でも「スパム」として報告できます。これも、スポンサー付きコンテンツにはっきり表示をつけるべき理由の一つです。
正直に言えば、限界はクリックの後に起きることです。Mateflowは投稿内のリンクのクリックをレポートしません。そのため、スポンサーがコミュニティの外で計測する必要があるもの(訪問、登録、売上など)は、スポンサー独自のコードやリンクを通じて、スポンサー自身のトラッキングで計測してもらいましょう。
やってはいけない3つのこと
メンバーへのアクセスを売らない。リストも、ダイレクトメッセージも、データも渡しません。売り物はオーディエンスではなく、オーディエンスの前に立つ場所です。
スポンサーを隠さない。メンバーの意見のように読めるスポンサー投稿は、ほかのあらゆるおすすめまでメンバーに疑わせる最短ルートです。
無償でも勧めないようなスポンサーは受けない。お金だけが理由なら、メンバーはあなた自身より先にそれに気づきます。
まとめ
小規模で焦点の絞られたコミュニティでも、スポンサーシップは売れます。スポンサーがお金を払うのは、特定のオーディエンスと、そのオーディエンスがあなたに寄せる信頼に対してだからです。同じ理由で、スポンサーシップには危うさもあります。掲載のたびに、その信頼が少しずつ使われていくからです。
だからこそ、最初の商談の前に一線を決め、メンバーに役立つものを届ける形式を選び、相性の良いスポンサーだけを受け入れ、インプレッションではなくパッケージに値段をつけ、すべてに表示をつけ、正直な数字を報告しましょう。そして、もたらすもの以上に信頼を損なうスポンサーシップは終わらせましょう。資産はあくまでコミュニティであり、スポンサーシップはその運営資金を得るための手段にすぎないのですから。